「デザイン経営」という言葉は日本では聞き慣れませんが、昨今のグローバル企業の間では半ば常識と化して来ています。イギリスではデザインへの投資額に対して4倍の利益を創出しているという調査があり、アメリカの調査ではデザインを重視する企業の株価はS&P500(アメリカの代表的な企業の株価指数)全体と比較して10年で2.1倍の成長率だったと言う報告もあります。Apple、良品計画、マツダ、ダイソンなど自社製品を持つメーカーに限らず、IBM、Airbnbなどサービス業においても、デザインの専門家を経営陣ないし経営直下に据え、デザイン思考による製品・サービスを開発し、幅広い支持を集めているのは衆知の通りです。現代は製品やサービスのコモディティ化(機能や品質の均一化)が進み、差別化が極めて難しい時代です。そこで単に製品やプロダクトのデザインに留まらず、ブランド化やイノベーションなどにおいてもデザインの力を最大限活用し、新たな付加価値を創出しようという取り組みが注目されているのです。
日本では2018年5月、経産省と特許庁の共同で「デザイン経営宣言」という報告書が取りまとめられ、最近になってようやくその名を知られるようになってきました。報告書によると、デザイン経営の定義は以下のように記載されています。
1. 経営チームにデザイン責任者がいること
2. 事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること
デザインという言葉の概念はとても広く、一言で正確に表現することが難しいのですが、デザイナーやクリエイターなどデザインに携わる人々の持つ思考や設計思想をビジネスのあらゆる過程に活かし、新たな価値創造を目指すことが「デザイン経営」の本質であると思います。機能やサービスで差別化が難しいこれからの時代において、デザインの力はますます重要になります。当社が手がける空間やディスプレイが良い設計やデザインでなければならないのは当然として、サービス、PR、職場環境などあらゆる面にデザイン意識を行き届かせ、会社全体の価値を高めて行くことが自社の「ブランド化」であると思います。当社はこれから、デザイン経営を進めて行きます。