開催中の北京オリンピック、日本選手団の活躍もあって盛り上がっていますね。自分も見れる競技がある時は、生中継、録画を問わずついつい見入ってしまいます。ところでオリンピックといえば、世界最高峰にして最大のスポーツイベントであると同時に、平和と友好の祭典でもあることは周知の事実です。実際、オリンピック憲章冒頭の「根本原則」にも、このように明記されています。
『オリンピック・ムーブメントの目的は、いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解しあうオリンピック精神に基づいて行なわれるスポーツを通して青少年を教育することにより、平和でよりよい世界をつくることに貢献することにある。』
しかしながら今回の大会、開幕前からチベット、香港、新疆ウイグル自治区などの人権問題に端を発したボイコットや首脳級の参加見送り、ロシア選手のドーピング問題、様々な競技における疑惑だらけの判定など、友情?フェアプレー精神??平和でよりよい世界をつくることに貢献???などなど、根本原則なんぞ全く置き去りではないかと首をかしげたくなる場面が多々あるように感じます。そして、こうした問題についても民主主義国家と共産主義国家での立場や意見の違いが顕著で、ここでもやはり「分断」が生じています。更にはオリンピック開催の裏で、ロシアとウクライナの問題が風雲急を告げて来ている現状・・・。コロナ禍で難しい運営を強いられていることは差し引いても、素晴らしい大会であるか?と問われば、評価は微妙なんではないでしょうか。もちろん、選手の皆さんの活躍は素晴らしいですし、純粋に「競技会」としてみれば素晴らしい大会であることは間違いありませんが、オリンピック・ムーブメントの目的を果たしているのか?と問われれば、どうなのでしょうか。
そしてもう一つ大いに違和感があったのが、スポンサーの存在が全く目立たなかったことですね。通常オリンピックイヤーといえば、TVをはじめ様々なメディアでスポンサーCMがオンパレード、公式グッズの販売や様々なキャンペーン、イベントなども目白押しで、意識しなくても雰囲気が盛り上がって来るのですが、今回は「あれ、今週からオリンピック始まるんだっけ?」みたいな感じで、スポーツニュース以外でオリンピックの話題なんてほとんど目にしなかったような気がします。オリンピックの呼称を用いた販促活動は、莫大な協賛料を支払ったスポンサー企業にだけ許される最大の特権なのですが、今回はそれが全くありませんでした。その背景に透けて見えるのは、人権問題など様々な社会問題を抱える中国開催のオリンピックに協賛しているという「負のイメージ」を避けるため、露出を極力控えたいというスポンサーの思惑。莫大な協賛料を支払って、企業のイメージダウン低下に躍起になるなんて、何のためのスポンサーなんでしょうか。まあ、次回2024年はパリでの開催ですから、また全然違った盛り上がりになるとは思いますが。
今回の大会は、オリンピックの「限界」のようなものを感じたり、今後のオリンピックのあり方にも影響を与える一つの転機になるのかなと、一方でそんなことを感じながら、一方で日本選手団の活躍を大いに楽しんでいます(笑)。